長野県、大町という田舎で生まれ育ち、戦時中にも関わらず15歳の時に単身東京の学校に出てきた大正最後の年生まれ、78歳の祖母はぞくに言う、はいからさんなんです。
祖母と買い物に行くと大袈裟に言えば、100歩歩く度に喫茶店に入るんですが。喫茶店と言うのでなく、祖母に言わせれば「カフェ」という物なのかと思います。
しかも発音はフランス語ふうで「カフェ」
喫茶店を見つけると祖母は一服しようとすぐ言います。別段足が弱いとかではなく、たんにカフェ好き。お茶好きなんだと思います。
最近では、スターバックスカフェ・アフタヌーンティー・ドトールコーヒーなどの所謂カフェがありますが。シアトル系とかいろいろ流行がありますね。僕はその辺りのことはウトイので分かりませんが。
この前、青山にある何という名前がど忘れしましたが、カフェに入ったんです。そのカフェは昼過ぎなのにJAZZが流れているんです。最近はそんなお洒落なカフェもあるみたいで。
「おら田舎者にはびっくりだべぇ〜。じゃずだべぇ〜!」
と、僕は挙動不審になり。
光がこれでもかと射しこむガラス張りのカフェで。外で歩いている人から見られているように感じ、何だかマネキンになった気分で。店内に座っている僕らが何だか恥ずかしくなるそんなカフェなんです。
祖母の基準ではそれら若者のカフェはカフェじゃないようで。
そのようなカフェは「忙しい」という。
僕が思うには、若者ばかりだからというのではなく、建物がそのような洋風チックなのが祖母のカフェのイメージとは合わないんでしょう。
今時のカフェとは、一服するというそのような作りよりも、見た目を重視してよりお洒落な設計になっているような気がするんです。喫茶店で一服するという目的が変わってきたのかも知れませんね。
僕も一応、まだ若者のはしくれですが忙しいと思うのです。スターバックスカフェで、何時間も談笑する気にはなりませんし。本も読む気には僕はなりません。
祖母がご贔屓の喫茶店は、和風テーストを残しながらの洋風。もっと分かりやすく言えば、ビーフストロガノフもあるけど、ラーメンもあるよ。オムライスは美味しいよ!!というような洋食屋さんのような喫茶店で。
いかに心落ち着くかなんだと思うんです。
祖母はそんな心落ち着く喫茶店に入り、煙草を1本吸い一口コーヒーを飲んで…
「ワタル。でるよ。さあ行こう。」
僕はコーヒーは飲めないので、僕のカフェで頼む定番のアイスティー(あればアールグレイの)をまだ半分も飲んでいないんですが…。
「忙しい」
これ、家の祖母のことだと思うんです。そんなこと言えないんですけどね〜。せっかちで短気な祖母に黙殺されるので。
家の祖母はハイカラさんですから。まあそこが祖母のいい所、チャームポイントなのかな〜と思っています。