2003/1/31 僕の金魚。

僕が初めて貰った一万円のお小遣いで近所のペットショップで買った物は金魚だった。

ペットショップに行くと普通よりも大きな黒い金魚を見つけた。値段は一万円。とにかく一万円を使いたかったし、大きい方がいいと思って、

「おばちゃん、その黒い大きい金魚ちょうだい!」

「これかい?大丈夫?」

おばちゃんもちょと売っていいのかなというような顔をしたけど、僕の頭の中でもう黒い大きな金魚が泳いでいたのでそれ意外考えられなかった。

おばちゃんが大きなビニール袋に黒い金魚を入れてくれた。ビニール袋を道に引きずりながら家に持って帰った。

「な〜あ、金魚買ってきたから、入れるとこな〜い?」

母に言ったら小さなガラスのコップを出してくれた。

「それ小さいよ〜!」

「だって金魚でしょ。」

「オレの金魚は大きい。」

と言って大きなビニール袋に入っている金魚を母に見せた。

「これどうしたの!」と母になぜか怒られて大きな金魚が入っているビニール袋を取り上げられた。「返してくるからね!」と言って家を出ていってしまった。

母が帰って来て、「ほら金魚」と小さい金魚をくれた。

小さな金魚をガラスのコップに入れて毎日楽しみに見ていた。その金魚を弟が見たいと言っても、

「自分のお金で買ったんだからダメ!欲しいなら自分のお金で買え!」

と言って見せなかった。

そしてあまりにも金魚が好きで好きで、誰にも見せたくなくって、どうしていいか分からなくなった僕は金魚を手に取り食べるという行動にでた。

「あ!お兄ちゃんが金魚食べてる!」

不運にも金魚を食べている現場を弟に見つかって両親に報告されてしまった。

あれから20年近く経つが、家族で食事をしてアジの開きなどの焼き魚を食べていると父に、

「金魚は食べれないよ〜。」

と言われる。

調べた結果アイルランド地方では金魚を食べるそうです。ただ飼っている金魚を食べているかどうかは分かりません。人生には失敗はつきもの。またたった一度の失敗を見られてしまうこともあると思います。

だたその失敗も、「金魚は食べられないもの」と分かっただけでも成功だったんではないでしょうか。

そして今になり大きな金魚はたぶん錦鯉ではないかと思うんです。あれを食べなくて本当に良かった。今はそう思っています。

そしてあの時の僕の一万円はどこに行ったのか?そろそろ母に問いただしてみたいと思っています。僕が焼き魚を食べるたびに、「金魚は食べれないよ。」と言う両親に対しての復習でもあります。

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