僕の家の裏の駐車場のこと。
2003/10/3 僕の家の裏の駐車場のこと。

僕がむかし住んでいた家の裏には大きな駐車場があった。学校から帰ってくるとほぼ毎日駐車場に行く。駐車場は路面が舗装されていなく砂利になっている。周りは、ねこじゃらしで有名なえのころ草などの雑草が茂っていて秋になるとんぼなどが飛ぶ絶好の遊び場だった。

いつものように、駐車してある車に当らないように一人で石を投げて遊んでいた。前に一度だけ投げた石が、車のフロントガラスに当ってひびが入ったことがあった。その後、1ヶ月ぐらい駐車場には行かなかった。

そして今日も石を投げて遊んでいた。車のガラスを割ってからというものかなり慎重に投げるようになったので、コントロールは格段に良くなっていた。

カーブやシュートなども投げていた。カーブを投げた時だった。手元が狂い少し石が意図した方向よりもそれて飛んでいった。

そちらには車はなく草むらだったので安心していたら、「あ!」

人の声が聞こえた。僕は一目散に逃げた。



近所の床屋さんで髪を切ってもらっていた。おばあちゃんが丸く切るように丸く切るようにと床屋のおばさんに何時ものように頼んでいた。

「丸くなんていやよね〜。角張っていた方が格好いいよね〜。」

床屋のおばさんは僕にそう語りかけた。いつものことだと思っていた。床屋のおばさんは僕の髪を切りながら僕に語りかけたり、おばあちゃんと話したりしている。

「駐車場の横に住んでいるおばあさん。昨日、石が降ってきて怪我をしたんだってね〜。」

「まあ、どこかの子供が投げたのかね〜。恐いね。」

その後2週間ぐらい駐車場には行かなかった。



今日は駐車場でとんぼを捕まえて遊んでいた。石を投げるのは危ないので最近は投げていない。

捕まえたとんぼのお尻に糸をつけて飛ばしていた。

「とんぼを捕まえたの。」

振りかえると白髪の品の良さそうなおばあさんが黒い子猫を抱いて立っていた。その後、何か会話をしたと思うが気がついたらおばあさんの大きな家でメロンを食べていた。

美味しいメロンだった。

「また遊びにおいで。」

おばあさんがそう言ったのでメロンを食べに2週間毎日行った。2週間しか行けなかった。2週間後行ったら家には誰もいなかった。次の日もピンポンを押したが誰も出てこなかった。



近所の床屋さんで髪を切ってもらっていた。相変わらずおばあちゃんは僕の頭を丸くしたいらしい。丸く丸くと念じるように床屋のおばさんに頼んでいる。しかし床屋のおばさんは僕を角刈りにしたいらしい。いつものことだ。

「駐車場の横に住んでいるおばあさん。心臓が悪くて入院したんですって。道で倒れたから良かったらしいのよ。」

「ほらあのおばあさん一人暮しでしょ。家で倒れたらそのまんまで助からなかったかも知れないんだって。」

「息子とかはいないの?」



おばあさんが家に戻らなくなり5年が過ぎた。僕は中学生になって隣町に引っ越をした。ときどき学校帰りに思い出したかのように駐車場による。駐車場の周りにはフェンスが出来ていた。マンションを建設するらしい。フェンスをよじ登って駐車場の中に入った。

おばあさんの大きな家は草木が茂り荒れてはいたが残っていた。窓から中を覗いてみる。家具も何もない。誰かが持って行ったのだろう。

帰ろうとして背を向けると猫の鳴き声がした。

振りかえると玄関のドアの前に白い猫がいた。



僕は学校帰りにお弁当の残りを新聞紙の上に移し猫にあげた。

しばらくすると猫が出てくる。お礼も言わないで猫は食べる。

そうして1ヶ月ぐらい経った。いつものようにおばあさんの家に行った。

弁当の残りを新聞紙の上に移す。しばらくすると猫が出てくる。

お礼も言わないで猫は食べている。

猫が食べいるのを見届け猫に背を向けて歩き出した。

猫の鳴き声がした。

振りかえると、白い猫の他に黒い子猫が3匹いた。黒い子猫は3匹とも初めて見たが、むかし見たような気もした。家族のようだった。

それ以後、猫を見かけない。

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