恋をしてますか?
2001/12/3 恋をしてますか?

このバイトは12月24日までの限定のバイトだ。今日はこのバイトが最後の日ということもあって、あることで頭が一杯だった。それは、同じ職場の彼女のことだった。いつも同じ時間に同じ方向に帰るんで、いつのまにか仲良くなった。いつのまにか好きになった。そしていつものようにバイトが終わり、いつものように一緒に帰る。

特に今日は寒いクリスマスイヴだ。「僕のこの気持ちを伝えなきゃ!」ってことで、頭の中が一杯。「好き!好き!好き!」という言葉が、朝から渦巻いている。クリスマスマジックに掛かったみたい。たぶん彼女も掛かっている。夜は、9時を過ぎている。町には沢山のカップル。そのカップルに僕らを投影。僕達もあんなになるんだ。僕の意識はもう妄想を超えて暴走。

駅までは20分の道のり。それまでに、「好き」ってことを伝えたい。2秒でいいから伝えたい。でも中々切り出せない。いつもの多弁な僕じゃない。何だか格好いい!

少し会話をしてみるかと思い、今流行っている映画の話しを切り出す。吐く息は白い。「マジソン郡の橋って映画も本もつまんないよね。」彼女は、「あのパロディ本もあるんだよね。」何だか実りのない会話だ。ヤバイ、あと駅まで10分。

僕は突然ぼそっと、「君のことが好き。」僕はやっと言えたことに満足。心臓の鼓動が、1分間に200は脈を打っている。もう死ぬかも。でも死んだほうが楽。

でも彼女には聞こえなかったらしい。もっとデカイ声じゃなきゃダメ?町一杯に好きって伝えなきゃダメなの?今のぼくには無理!無理!無理!

結局、彼女の耳に好きってことを伝えられなかった。その後会うこともなかった。いつのまにか彼女への想いも忘れた。そんなに彼女のことが好きじゃなかったのかな?なにか僕は急いでいたのかな?この恋も12月24日までの限定の恋だったみたい。


そして今年も寒い冬がやってきた。クリスマスはもうそこだ。またマジックにでも掛かってみるか。でも今はあの頃とは違う。会う人会う人に、好きの安売りオンパレード。下手な鉄砲数打ち当たらない。そこが悲しいセンチメンタル。

そして毎度、毎度、言われる言葉が、「友達から始めましょう♪」

え!今まで友達じゃなかったの?じゃあなんだったの?ペット?また友達から始めるの?すごろくでいったら、ふりだしに戻るの?っていうか、僕の好きって言葉はふりだしに戻るための罰ゲーム?


そして好きという言葉を忘れてしまった僕は、コタツで蜜柑を食べながら今年も年を越す予定。僕、黄色過ぎ。黄ばんできました。

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