小学校の先生とつつじの花。
2002/4/28 小学校の先生とつつじの花。

つつじの紅色の花が咲くこの季節になると思い出す。小学校の頃の先生を…。

学校帰りに、つつじの木に花が咲いていた。一緒に下校している友達が、

「この花食べられるんだぜぇ!」

得意げに言いそしてつつじの花をむしり取り、花をチュウチュウと吸い出した。

「まっちゃんも食べてみな。甘くてうめぇ〜よ。」

僕はつつじの花をむしり取り、花を吸った。なんとも言えない甘さが口に広がった。

「マジに美味しいね。」

「な!そうだべ!」

学校帰りに、甘い物を食べられるなんて!!

学校帰りに物を食べるということはタブーとされていた。たま〜に近所の駄菓子屋さんに寄って、すももを食べたりする。そういう楽しみがあった。

その行為は先生に見つかるとお目玉だし、少し後ろめたさもあったが、その後ろめたさが何とも言えず、時々ランドセルを背負ったまま駄菓子屋に寄りお菓子を買って食べた。

サラリーマンが帰宅前に、ちょいと養老の滝で一杯酒を食らう。その味は家で飲む酒とは違い美味い。なぜか分からないけど美味い。それと同じかな?


帰りのホームルームで先生が、

「先生この前な〜。人から聞いたんだけどな。学校の帰りに駄菓子屋さんで菓子を買って、ふ菓子を食べて歩いている奴がいるらしいな〜。それはいかんぞ。ちゃんと家に帰って手を洗わないと病気になるぞ。」

と、クラス全員に向かって言っているんだけど、僕一人に言っているように感じた。

先生に学校帰りにふ菓子を食べている所を見られた。というか、僕は先生の姿を見て逃げたつもりだったんだがどうやら逃げ切れなかったらしい。

いや厳密には僕だけじゃなかった。けど僕は逃げ遅れた。なんていうかいっつもそんな役回りだ。

しかし先生は僕を直接は叱らなかった。先生も分かってくれているんだろうか?

僕は家に帰ると勉強、勉強の毎日で。あまり早く家に帰りたくなかった。学校でも優等生だったし。結構、息のつく暇がなかった。優等生を演じるのは大変だな〜。その思いが先生に伝わったんだろうか?

その後帰りのホームルームで先生が、

「学校の周りのつつじの木が…。知ってるか?赤い花が咲く。その花が全部むしり取られているらしいんだ。ご近所さんなどから学校側に苦情があった。

少しならいいけどな。そういうことは分からんように。分からんようにやるもんだぞ。甘くて美味しいのは分かるけどな。先生もやったことがあるけどな。取り過ぎはいけないぞ。

でも一つだけ忠告しておくけどな。先生の頃のつつじの花は大丈夫だったけどな。今のその辺のつつじの花はな。農薬が使われていたりして。体に悪いぞ。それとな。最近は立小便をする人が増えてるから。あまりつつじの花を吸うのは辞めた方がいいぞ。」


と、クラス全員に向かって言っているんだけど、僕一人に言っているように感じた。

この前、図工の居残りをして5時過ぎになり。学校帰りにつつじの花をむしゃぶりついているのを見られた。先生が自転車で帰宅する際に「お!松田!早く帰らないと日が暮れちゃうぞ。夕焼けが綺麗だな〜。」

僕はつつじの花を口にくわえていた。

それとつつじの花が減り、吸う花が無くなってきているのは薄々感じていた。

今になってよ〜く分かったことは、その頃に吸ったつつじの花の農薬のせいだってことだ。

TOPBACK