2003/10/19 我が家の日本シリーズ。

最近、父と祖母の仲が悪い。

原因は対したことはないのだろうが散りもつもればなんとやら。険悪なムードがリビングいったいに立ち込めている。

僕はリビングで父と日本シリーズを見ていた。第一戦の先発、阪神は井川、ダイエーは斎藤、共に20勝投手。手に汗握る日本シリーズが始まった。

リビングと祖母の部屋はほぼ一間続きになっているので、祖母の部屋でテレビを見ていると、リビングのテレビの音と混同する。部屋のふすまを閉めればいいのだが祖母は閉めない。

同じ番組を見ているのなら気にはならないが、違う番組を見ているとお互いのテレビの音が混同し聞きづらくなり音量戦争が勃発する。

しかし今日は祖母も同じ日本シリーズを見ていた。リビングから祖母の部屋のテレビが見えるので何を見ているか分かる。

戦争は起こらないはずだったが、なぜか音が混同し始めた。同じ野球じゃないのか?同じ日本シリーズじゃないのか?

そういえば同じ日本シリーズの映像でもリビングのテレビの映像と祖母の部屋のテレビに映っている映像が違う。

心当たりがあり僕は新聞を見た。やはりそうだったのか…。TBSのほかに衛星放送でも日本シリーズをやっている。祖母は衛星放送で放映している野球を見ているんだ。同じチャンネルにすればいいものを…。

音が混同する。そして我が家の日本シリーズが始まった。

まず父が舌打ちをする。「チェ!」

そうすると祖母のテレビの音量が一つあがる。祖母のテレビの音量が勝つ。それが気に障った父は舌打ちを連発する。

「チェ!チェ!チェ!チェ!チェ!チェ!チェ!」

7回舌打ちをした。音量が舌打ちの数だけ上がるのか祖母のテレビを見ていたら、今度は祖母のテレビは消音になった。

音の混同はなくなりリビングのテレビに映っている日本シリーズの実況だけが聞こえるようになった。リビングのテレビの音量だけが聞こえるはずなのに、家全体は無音状態のような感じになった。

異様な雰囲気だがこれで音量戦争も終わるだろう、そう思っていたのが甘かった。30秒ぐらいしたら祖母の部屋のテレビから先ほどより大きい音が聞こえた。

ばねも跳ぶ前には縮む。祖母は力を蓄えていたのだ。

今度は父が音量をあげた。もうこうなったら止まらない。日本シリーズの熱戦と共にどんどん音量も大きくなる。

ダイエーがサヨナラ勝ちを収めたとき、お互いのテレビの音が小さくなり我が家の音量戦争も終わった。静けさを取り戻したリビングには父と祖母の二人の怨霊がたちこめていた。

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